時空。

目が覚めたら公園のベンチ。
一瞬の微睡。
風に中に、かすかな潮の香がした。
遠い記憶。

現在、過去、未来。

過去と未来が交錯し。
今のこの時が幻に。

日常性と非日常性は、紙一重。
当たり前に思えるこの風景も、一瞬に消え失せ。
違う世界に飛んでしまう事さえある。
それが現実だと言うのに。

人は、当たり前に、昨日と同じ時が明日も過ぎていくと根拠もなく信じている。

世界は時間の座標と空間の座標の交わるところに生じる。
存在とは、一瞬の連続によって生成する。
時は流れて一瞬たりとも留まる事を知らない。
変化は、時間の関数。
未来は、過去と現在の延長線上にあり。
現在は、過去との関りから逃れられrない。
過去は記憶の底に埋もれていく。
過去は、幻なのか。

時に実体を求めても虚しいばかり。

時間は不可逆的な流れだが。
意識は時を逆流する。

時空は、この今という瞬間に連結し、実現している。

一刻一刻、時は刻まれ命を削り。
老いさらばえていくと言うのに。
若い頃の記憶から逃れる事も出来ずに。
また、青春の時を取り戻せるように思っている。

夢だって。
笑わせるぜ。
現実なんだよ。
もう若くはない。

終末の影におびえるのに。
自分に忍び寄る死の影に気がつこうともしない。

取り戻しようのない過去の記憶に浸って。
今の自分をみようともしない。

死んだ友の声が聞こえた気がする。

在り、在りて、在る。
その本源は、神にある。
故に、人は、自制しなければならない。
それが神の意志だ。

存在は、その存在自身の力で存在し。
その存在のあるべき姿は、その存在の力によって維持される事である。

人は、自身の力によって存在している。
人は自身の力によって自分の在り様が定まる。
故に、自分の意志によって自分の在り様を決めなければならない。

自分は、自分として存在している。
自分の生き様は、自分の意志で定まる。
故に、自分の意志の反する行動をとれば、自制心は失われる。

実体があり。
実体を実体たらしめる意識があり。
存在は存在できる。
突き詰めれば、人生なんて意識の所産に過ぎないのか。
世界も空。
空間の内。

定年を過ぎれば、時は恐ろしくゆっくりと流れるようになる。
この歳をして、生き急いでも仕方がない。
何故と問うたところで時間がない。
無為に時間が流れていくと言うのに。

振り返ると空を真っ赤に染める夕焼け。
ああこれが、神の力か。
幾千年も変わりはしない。
超えようもないではないか。

なぜ、受け入れようとしないのだろうか。

例え、人の世が滅んだところで、何ほどの事があるのだろうか。

それが、一夜の夢だとしても。
あるがままに生きるしかないではないか。
今更、死んだ友に話しかけたところで切なさが増すばかり。