仕事には、入り口と出口があって、
最初に、探さなければならないのは、入り口なんだ。
ところが、仕事に慣れていない人は、出口ばかり探して迷う。
大体、指導者、マネージャー、水先案内人の仕事は、入り口まで皆を誘導する事。
案内人がいないと、なかなか、入り口が見つからなくて、出発もできなくなる。
入り口まで到達するのが大変なのは、入り口から後は、決まった手順もあるし、教科書にも載っているけど、入り口までは、決まった道筋がないから。
入り口までは、自分で道筋を作っていかなければならない。
自分で切り開かなければならない。それで難しい。
でも、入り口まで、たどり着けなければ、何も始まらない。
それを忘れないように。
入り口まで行けば、後は、手順通り、決められたコースにそって、段取りよくやっていけば、自然に出口までたどり着ける。
ところが、入り口が見つからないと、いつまでたっても、仕事そのものが始まらない。
気持ちばかりが焦るという状態が続く。苛々がつのる。

ました、ましたって、終わった事、やってしまったことを言われてもしようがないというの。
尻ばかり追いかけまわすなって言われたものよ。
尻ばかり繋げても仕事にはならないの。
何事も最初が肝心と言うだろうが。
仕事は鰻のようなもの。
尻尾を掴もうとしたらぬるぬる逃げていくよ。
首根っこを抑えないと。
仕事には期間があるの。
はじめと終わりがある事を忘れてはいないか。

決めなければならないのがあるのは最初。
だから何も決まっていない。
白紙な時にやらなければならない。
だから難しい。
結果が出てからでは遅い。
試合が始まってからああだこうだ言っても何もできない。
試験の結果が出てから後悔しても手遅れ。

肝心なのは、導入部分なんだよ。
差がつけられるには、試合の前の練習。
勉強ができるのは、試験前まで。
試合が始まってから後悔しても遅い。

最初に魂を籠めないと、仕事が死んでしまう。
後から、魂を籠めようとしても無理なんだよ。
最初に、どこを、誰を、何を、中心とするかを明確にする事だよね。
入口、出発点が肝心なんだ。

出発点が曖昧だと、既成事実を積み上げる事になる。
時間が無くなり、切羽詰まって仕方なく、慌てて手を付ける事になる。
目の前にある、目につく仕事から仕方がなく手を付ける。
当然やっつけ仕事になる。
結果が先行し、既成事実に基づく仕事になる。
部分の寄せ集めになり、とりとめがない仕事になり、
全体の統一性が失われる。
自分か何をやっているのかもわからなくなり、仕事の順序も筋も失われる。
結局、出来合い、ご都合主義となる。
前例を積み重ねるしかなくなる。
しかも、原点にも戻れなくなる。
当たり前に、魂がこもらない。
形骸化し、いい加減、適当になってしまう。
日本の国家予算が典型である。
一度、枠が決められると後は、線を引いたように何年も何年も変わらない、長い年月経てみると一直線の様になって、終いに既得権化してしまう。国家構想が見えてこない。
そして、見直す事さえしなくなる。できなくなる。
そうなると、反省もしなくなり。
問題をどんどんと先送りするようになる。

その結果が、財政破綻。

形骸化して、始まりがわからなくなるから、何も決められなくなる。
自分で決められないから責任の転嫁が始まる。
魂のこもらない屍のような予算、ゾンビのような仕事になる。

最初は決断なんだよ。
何もはっきりしたことない。
白紙だからね。
やるという強い意志で決断するしかない。
家庭を持つのだって、子供を産むのだって、事業を興すのだって、志を立てるのも、計画も、決めなければ始まらない。
ところが、皆、はじめを誤魔化そうとする。
できちゃった婚で、既成事実を作ってしまおうとする。
だから最後まで責任がとれない。

予算だってそうさ。
最後まで自分の考えで作ろうとしない。
そして、人の性にする。
だから、結果に対しても責任を持とうとしない。
それでは、最初から言い訳をする為に予算を作る様なもの。
一人ひとり自分の胸に手を当てて考えてみろ。
本当に、責任をもって予算を作ろうとしているか。

お前たちは、自分が何を守らなければならないのかを忘れている。
そして、守ってもらう事ばかり考えている。
誇りを持てよ。

どんどんさ。
見栄だの、外聞だのさ。
捨てていくんだよ。
最後にそれでも捨てきれないものが残る。
それが、お前が守らなければならないもの。
いいか、それがお前の原点なのんだよ。
自分なの。

自分の性根を持てと言う事さ。
自分の性根をね。
それが根性さ。
根性。根性。ど根性さ。

チームワークというのは、大きな荷物を、山頂に運ぶような事で、
一人で山登りすればいいというのとは違う。
チーム全体に、いかに目的を明確にし、やる気を起こさせるか、
自覚をさせるかが成否を握っている。
一人合点では、最初からうまくいかない。
目標、ゴールが全員に見える様にし、それぞれの分担を明確にしないと成功はおぼつかない。
いつ、どこに、皆を集めて、
どこから山頂を目指して、登り始めるかが、決め手なのだ。

出発は、集合場所と集合時間を決めて皆が用意したところにある。場を作る事。

形を作る事さ。自分で道を作る。
自分の形を早く作れと言われたものさ。

入り口というのは、場を設定する事で、難しい事ではない。
できる事をできる範囲内で、簡単にやればいいよ。
軽くやれと指導された。難しくするなともね。
余り大仰にしたり、難しくすると最初から躓いてしまうからね。

本当に何でもない事を積み上げて、入り口まで引っ張っていくのがコツ。
最初に難しくしてしまうと、ボタンの掛け違いを起こしやすくなる。

要は、子供の頃、遊んだ鬼ごっこの要領で、手を挙げてこの指とまれとメンバーを集める事だよ。
大体、始めは、場を設定する事を考えるのね。
チームを最初に作らなければならないから。
基本的に二人以上だけど、相対では、広がりがなくなるから、原則、三人以上を想定する。

話のもっていきかたが大切なんだ。
話の持っていき方を間違えるとね、うまくいく事もいかなくなる。
落としどころも考えておけよ。
落としどころを間違ったら収拾がつかなくなるからね

始めは、場を設定する事だから、いきなり結論(出口)を考えるのではなくて、状態を考える。状態を考えろと言われた。
場の設定だから、仕事の仕様、要するに、最初は、状態を表す事項がチェック項目になる。
つまり、いつ、どこで、誰と、なぜ、何を、いくらでするのか。
時、場所、目的、人、予算、作業を設定し、確認する事から始める。

指示、された事、決定された事、会社の方針等を、どうやって仕事に結び付けるかを考える。

上と打ち合わせるのか、横と連携するのか、足下を固めるのか。
先ず、誰と相談するか。
それが実際の仕事の布石にもなる。
構想だよね。
その段階から仕事は始まっていると考えていい。
話し相手を間違えると手詰まりになる。

角道を開けるか、飛車先をつくのか。
初手が決め手。
でも最初の一手は軽く指す。
詰めまで考える必要はないし、考えたって始まらない。
第一、人間では、読み切れない。

初手から長考するな。
最初の第一手は、試合の形を決める大事だが、軽くさせ。
そうしないと試合が始まらないし、試合の流れができない。
最初の第一手から長考はしない。

マネージャーの仕事というのはな、仕事が出来るようにする、会議が開けるようにするの事だ。
何をするかが、決まったから仕事が終わったと、早とちりするなよ。
何をするか、決まってから、仕事は始まるんだ。
会議の日が、決まったら、直ぐに仕事に取り掛かれる様にしろ。
試合の日が、決まったら、直ぐに選手を集めろ。
会議の日が、決まったら、仕事が終わったなんて間違っても考えるなよ。
試験の日が、決まったからと言って、試験の結果が出たわけではないんだからな。
そんな事だから、試験をする前に結果が出てしまう。
獲らぬ狸の皮算用はするな。
会議の日が決まったら、すぐに、会議の準備、支度を始めるんだ。
そうしないと、会議の日までに、準備は終わらないぞ。
会議に必要な資料は何か、出席者に、依頼は終わったか。
議題の作成はいつやるんだ、会議の目的は確認されているか。
主催者は、誰か。
会議までに、用意する物は何か。
誰に、会議場の設定をさせるか。
会議の内容や結論よりも、周辺の業務、仕事。
一見、どうでもいい、雑駁で、無内容、無意味に見えるような事。
それを馬鹿にしているから仕事がまともにできない。

基本なんて、誰にでもできる、簡単で当たり前な事だ。
その当たり前で、簡単な事が、当たり前に、簡単にできないから、悩むんじゃあないか。
馬鹿にされそうで、誰にも相談できずに。
相談しても素直に聞けない。当たり前すぎて。
当たり前すぎるから、自分も気が付かない。
誰もが、やればいいと思っているし、やればできると思っている。
でも、いざやってみるとうまくいかない。

最初は、何にも決まっていないし、何をするのかもわからない。
だから、簡単にできる事から着手する。
入り口までたどり着ければ、何とかなる。
兎に角、速やかに仕事に着手しろ。行動に移せ。
そうしないと、身がもたない。精神をやられるぞ。
気が滅入って、まいってしまうよ。
何を、したらいいかがわからないのが、一番、堪えるんだ。

部下は、具体的な指示を待っている。
できない事、わからない事から、手をつけようとするからダメなんだ。
当たり前な事、当たり前にできる事から手をつけろ。
入り口は、足下からだ。
脚下照顧。
第一歩が肝心なのだ。二歩三歩、先を見ても足下の一歩がわからないと高転びに転ぶぞ。
最初は丁寧に、一歩一歩、確実に、堅実に、隙間を埋める事を考えろ。考えさせろ。

始めは、処女の如く、後は脱兎の如く。
機関車だって、自動車だって、最初はゆっくりゆっくり、仕事は、動きだしたら、徐々にに徐々に速度を増し、あるところから急速に加速していくから、加速しだしたら制御しようとしても難しい。
焦らないで、動き出した時に、しっかりと、初期設定をしておけば、
後は、組織が動きを制御してくれる。
始めの設定を甘くしていると、加速しだした時に、分解してしまうからな。

一番、悩むのは、言っている事はわかるけど、何していいかわからない。
だとしたら、言っている事ではなくて、何をしたらいいかだ。
打ち合わせる内容は、何を言っているかてぜはなくて、何をしたらいいかだ。
何がわかっていて、何がわかっていないかをハッキリさせろ。

入口を探している人間に講釈しても始まらないでしょう。
余計に迷わすだけだよ。

何が心を病ませるのか。
それは、ゴールは見えているのに、スタート、入り口が見えない。
入り口がわからないで右往左往している状態なのさ。
言っている事はわかるけど、何したらいいかわからない。
どこから、はじめたらいいかわからない。
そうこうしているうちに、時間ばかりがたっていく。
その焦りこそが、人の心を病ませ、悩ませ、憂鬱にし、性格を歪めていく。
入り口なのだ。探すべきなのは、入り口なのだ。
入り口は足下にある。
遠くにはない。

叩けよ。さらば、開かれん。