仕事をやり抜くのは、諦めきれない何かが、あるからさ。
責任感や義務だけで仕事をやり抜くことはできない。
学校の勉強なら、成績が悪いと諦めることができるけど、仕事は諦めきれない事がある。
親父は、仕事は諦めたらだめだ。
だから、商売は、あきないというのだ。
飽きたら、続かないよ。
毎日が勉強だ。
世間こそ、社会こそ、本当の学校だと。
親父は、小学校しか出ていなかったけど。
毎日、勉強を欠かさなっかった。
人に見せびらかしたりはしなっかったが。
それが、昔かたぎ、職人かたぎ、商売人かたぎっていうやつさ。

親父は、学校の勉強は嫌いだったみたいだけどね。
でも、学校出てからは、一生懸命、役に立つことを勉強した。
商売の事とか。人との付き合い方とか。
いかに生きるべきかととか。

諦めないで、一生懸命生きていくのは、
仲間の為とか。
夢とか。
誇りとかの為にね。
家族とか。
愛する人とか。
諦めきれない何かの為に。

一人では諦められる事でも、仲間がいるから、諦めきれない。
一人では耐えられなくても、仲間がいるから、耐えられる。
この子の為ってさ。
生きていくんだ。

今は、漫画や、ドラマでしかなくなったけど。
昔は、仲間の一人が、攻められたら、仲間全員で、自然と庇い、守ったものさ。

勉強だとさ。
自分一人の問題だからね。
成績が悪いからといて、誰かが、かばってくれるわけでもないし。
助けてもくれない。当たり前か。
だから、成績が悪くても、自分が諦めれば済むけど。
どうせ、俺は、ダメ人間ですよって。馬鹿ですよって。
それで、成績を隠すようになる。
仕事は、自分が諦めただけでは済まない。
俺が諦めたら、皆も終わってしまうって。

だから、歯を苦縛って頑張るんだよ。
仲間がいればさ、自分ができない事、わからない事、苦ってなことを隠すことはない。
隠したりしたら、水臭いことするなと叱られる。
助けられないじゃないか。
庇えないじゃないかって。
昔は、泣いて抗議された。

歳をとっても。定年間際でも。
情熱も、責任感も持ち続けられるのは、
死んだって、辞めたって、諦めきれない事があるからさ。

それを未練と言われてもね。
自分が、いない世界や、会社は、想像できないけどね。
想像しなければならない時が来る。
それでもな、諦めきれない事があるのさ。
諦めてはならないものがある。

それは、終点が近づかないと気が付かないもしれないが。
哀しかな。
終わりが近づけば、近づくほど、鮮明になり。
最後まで、諦めるなという、親父の声が聞こえてくる。

諦めきれないのは、自分の事でなく。
誰かの為なんだ。
その誰かが、だんだん、はっきりと見えてくるんだよ。

諦めきれないからこそ。