僕は、できるか、できないかを問うているわけではない。
やるべきか、やらないべきかを問うているんだ。
遅かれ、早かれやらなければならない事なら、早く始める事だ。
時間がたてばたつほど難しくなる。
できなくなる。
後で時間がないなんて言い訳したってはじまらない。
時間をなくしたのは、自分なんだから。
歳をとればわかる。若い時にしかできない事が沢山あるという事を…。
今、やらなければ、増々、できなくなるんだ。
甘く考えてはいけない。
今できないのに、五年後、十年後にできるようになるなんて保証はどこにもない。
今、はじめて、努力するから、五年後。十年後に期待が持てる。
今できないなら、来年、再来年はもっとできなくなる。
だからこそ、今、やらなければ、いつやるのだと問うているのだ。
やらなければならない事ならば、今から始めるしかない。
やるしかないじゃないか。
逃げたところで、自分からは逃げきれない。
今の自分を見て見ろ。今ならできる。
今やらなければ、どんどんできなくなんだよ。
やるなら今。今しかない。
やると覚悟したうえで、できるかどうかを問うべきなのだ。
できないと思うなら、できるようにするしかない。
遅かれ早かれやらなければならないのなら、若いうちに始めるしかない。
いつか、いつかというちに歳をとり、衰え、そして、不可能になる。
できるうち、可能なうちにやらなければならない。
俺にとっては切実なんだ。
今日できることだって明日できなくなるかもしれない。
老い衰えるというのは、哀しいが、現実なんだ。
努力せず、今日できなくても、明日できるようになると希望を持てるのは、若者の特権。
歳をとるとともに、日々、切磋努力しないと、どんどん可能性がなくなり、できなくなっていく。
だからこそ、歳をとったら、一日たりとも気を抜くことができない。
それが現実なんだよ。今日、努力するから明日を信じる事が出来る。それが老いだ。
だから、若い時に未練を断ち切り、独り立ちしろというのだ。
年寄りを頼るな。甘えるな。もたれ合うな。
未練を断ち切れ。
俺がいなければなんていうのは、自分に対する甘え。
俺は、今、必死に自分の老いと戦っている。
若い頃は、徹夜だってなんでもなかった。
新しい技術や学問を学ぶことにワクワクしていた。
今は、徹夜なんてとても無理。
新しい技術や知識を身に着けるとしても相当の覚悟入る。強い意志を持たなければならない。
己の限界や未熟さを直視するのは、耐えられない。
もういいではないか。もうやめようよという誘惑は絶え間なく起こる。
でも、俺は、もう一度、自分のこれまでをリセットして新たな挑戦に立ち向かわなければならない。
歳をとると人間、怠惰になり、こずるくなる。自分の力に対して諦める。その癖、頑固になって変化に対して臆病になり、保守的になる。人の言う事を聞かなくなる。
しかし、もうどうでもよくなって、後の事を投げ出してしまったら、人としての最低限のモラルまで失いかねない。
口では、私の人は、放っておいて、迷惑かけたくないからなんて言いながら、自分一人では何もできないから、見捨てられるのが怖くて、忘れ去られるのが厭だから、人の顔色をうかがい、卑屈に生きていこうとする。
しかし、そんな自分を許したら、己の誇り、人間性まで失う事になる。人でなしになる。
人はそれを堕落というのだ。
老いたればこそ、寒風吹きすさぶ外に独り出る。戦いはこれからだ。
今は、まだ、経済に与えるコロナの影響だって一部に過ぎない。
妙な楽観論だって出始めている。苦しくない業界は他人事だ。
しかし、本当の難局はこれからなのである。始まったばかりだ。
だからこそ、まだ、今ならできることが沢山ある。
やるべき時に、やるべき事をやらずに、どん詰まりに行くから救いがなくなるのだ。
時間が無くなるのだ。できなくなってから後悔しても遅い。
時間がないというのは、やるべき時にやらなかったお前が悪い。
苦しくなったら、自分だけが苦しいわけではない。皆、苦しくなる。
どん底に皆が堕ちていくからこそ、いち早く体制を整え、這い上がった者のみにチャンスが訪れる。
以前見た映画で、主人公が苦境に陥った時、
「この町の外れに欲望という底なし沼がある。その沼に落ちたもので脱け出せた者は少ない。
自分を取り戻したものだけがその沼から脱け出せるのだ」と主人公に助言していた。
今、まだできる。できるうちにやらなければ、後悔するだけだ。
未練を断ち切る事のできる者だけが老いというドロ沼から脱け出せると俺は信じている。
それが生きるという事。
俺は生き抜いてみせる。

やればできるよ。
少なくとも、俺だってやってこれたんだからさ。
俺は、お前に、俺より上手くできるとか、俺の方が上手とか、そういう事が言いたいんじゃあない。
本当。お前にできるかどうかなんて、正直解らないさ。
おれだってやらなければならないから。
誰も、助けてくれないから、やってきたのに過ぎないさ。
教えたくとも教えられないんだ。
自慢したくたって、自慢できない。
ただ、なんとか、俺だってやってこれたんだから、お前にだってできるよとしか言いようがない。
ただ、始めなければ、何も始まらないのさ。
遅かれ、早かれ、任せると決めたんだからね。
やってもらうしかない。
いつまでも、助手席にいたら運転は覚えないよ。
自分でハンドルを握らなければね。
できる、できないは二の次さ。
お前の問題じゃあない。
俺の覚悟の問題さ。俺が未練を捨てられないからいけないんだ。

なんだかんだ言って年寄りは、若者を信じて、任せてこなかった。
それが一番の問題なんだ。
できるか、できないかが問題なんじゃあない。
信じてやれないのが問題なんだ。