仮に、ロシアが当面の目的を達成したとしても、世界は、制裁を解くであろうか。
ウクライナ国民は、戦いを止めるであろうか。
また、ウクライナはロシアの思い通りになるであろうか。
世界は、後戻りできないところまで立ち至ってしまった。
この点はシッカリと認識しておく必要がある。

ウクライナの問題では、例え、ロシアが当初の目的を達したとしても、世界は制裁を解かないであろうし。
ウクライナが、ロシアの思い通りになるとは思えない。
この様な事態になったら、非武装中立なんてありえない。
非武装中立するためには、中央政府の統制が全土に及んでいない限り無理。
例え、キエフを制圧できたとしても、全土を制圧できるわけではない。
要を失えば、国家としての統制がとれなくなり、泥沼化するだけで、ベトナムやアフガニスタン、イラクなどを見れば歴然としてる。
武器が、国民にいきわたれば、正規軍同士の戦いではなくなる。
総力戦、皆殺し戦争になる。
結局、ロシアは、短期に首都を制圧し。
圧倒的な力の差を見せつけて、有利に交渉を進める以外になかった。
さもなければ、事態は泥沼化するのは必定。
日本が粛々と終戦を迎えられたのは、昭和天皇のおかげである。

プロパガンダは盛んで。
鵜呑みにするのは愚かである。
双方が、自分に有利になるように情報を流してくる。
冷静に状況を分析する事である。
お涙頂戴的な情報は、特に注意すべきである。
例え、兵士を懐柔できたとしても、それで進軍が止まるわけではない。
軍は、強固な組織であり、組織の論理で動く。
天安門事件の時のように、組織的な離反が起こらない限り軍は止められない。
個人の勇気は称賛に値するが、大勢に影響は与えないのである。
湾岸戦争、アフガニスタン、イラク戦争の例を見ても、首都や政権は短時間に制圧された。
問題はその後である。

課題は、兵站と情報にある。
戦争は、消耗戦でもある。
長引けば、それまでの貯えをすべて吐き出しても、足らなくなる。
戦線が拡大すれば、兵站戦も伸び、脆弱になる。
兵站に対する攻撃も増える。
今は、双方、軍の動きは衛星によって察知されてしまう。
インフラも、情報網も、物流も破壊され、一部機能しなくなる。
市場は分断され、物は著しく不足する事になる。
戦時中は、抑制できても、戦争が終われば、一気に噴出する。
経済を統制できるのは、戦時下だからである。
今はそれも危うい。
物が不足している時に金余りにすれば、結果は見えている。
挙句に日本は、景気を抑制する手段を自らの手で葬ったのである。

ロシアが仮に目的を達成できなかったとして、今度は、世界で一番の核大国の土台が崩れかねないのである。戦争は、消耗戦である。
今の中東を見ればわかるように四分五裂して無政府状態に陥る危険性すらある。
民主化するなんて幻想にすぎない。
ロシア革命、フランス革命が、それを証明している。
より強固な独裁主義、全体主義が台頭する可能性が高い。
勝ったとしても、財政は危機的になり、経済は破綻するのは世の常。

株の世界でも遠い戦争は買いというが。
いずれはそんな悠長な事を言ってはいられなくなる。

しかも、ウクライナの問題が勃発する以前に、コロナ、エネルギー、米中問題、財政問題等の問題が顕在化してくるのは必至なのである。
コロナも含めて、戦争以前にあった問題は何も解決していない。
むしろ、潜在化して、これから顕在化してくる。
戦争が、人々から目を逸らしているだけ。
例え、歴史が変わる事になったとしても、戦争はキッカケに過ぎない。

世界は、戦争の代償をいずれは、払わなければならなくなることを覚悟しなければならない。
覚悟して、一致団結できた者だけが生き残れる。