歳をとるとね。皆、簡単に納得してくれる。
年寄りの言う事だからって。
だから、考えが浅く、軽くなる。
若い頃はね。若いというだけで、簡単に納得してくれない。
だから、面白い。この野郎って遣り甲斐もある。
簡単に納得するとね、怠けものになってしまう。自分に甘くなる。
だから、若い頃はね。簡単に納得するなよって、相手に食って掛かったものさ。

でも、最近、世の中の話を聞いていると軽いんだな。
政治家とか…。
若者の話もね。
妙に、物わかりがいい。
解らない事があれば、わからないと言えばいいのにさ。
わかりましたなんて収まりかえるから、わからなくなる。
簡単に歳なんか取るな。

軽いんだよな。
簡単に考えすぎている。
物事を重く受け止められない。

それでいいと思っているの。

空気読めないとか言ってさ。
そんなこと言っているから、空気より軽い人間になってしまう。

男の約束は重いんだよ。
男の決断もね。
言葉も重いんだよ。責任だって重い。
重い。重い。だからさ。その重圧に耐えて、撥ね退けてこそ面白い。

自分達がこうしたいって強い意志を持てば、そういう社会になっていくんだよ。
問題は、若者たちが目指したいと思うビジョン、構想、思想が消えてしまった事だよね。
だから、若者たちは漂っている。根なし草だね。

自分達が何を目指せばいいのか。それを見失ってしまったから軽くなる。
というより軽くなければやっていけない。
軽い事を重く考える事は、あざとくてしんどい。
それが今の若者の悩み。

ならば自分達で志を見つければいい。
志すところを作ればいい。

真面目な話をしようとしても、しらけるとか言われてね。
それで何も言えなくなってさ。

俺だって高校時代。
俺の話なんて誰も聞いてくれないと思い込んで。
それで、もう誰にも話さないなんて思った時もあるさ。
それでも黙ってられなくなって。
誰か、一人でも、話を聞いてくれる人に、出遭えればいいじゃないと覚悟したら。
気が付いたんだよ。
お前の事、解るよって言っていた奴がいた事。
なのに、俺は、お前に何がわかるかって、拒んでいたんだ。
馬鹿だよね。
それでわかったんだ。
誰もわかってくれないなんて独善だったって。
だって、お前の言っている事、解ると言ってくれた奴がいるのに。
それなのに、「お前に何がわかるか。」って、耳と心を塞いでいたのは俺なんだから。
そうさ。一生懸命話せば、聞いてくれる人いるものさ。

人の事、最初から見下して、馬鹿にしている奴はさ。
経験がないとか、甘いとかね、言うんだよ。
でも卑怯だよな。
そういうのって。
何が甘いんだよ。経験不足で悪いかっていうの。
どこが、どう甘いのか、言ってくれなければ、直しようがないだろう。

高校時代、お前は、自信過剰なんだよって先生が云うからさ。
先生、学校というのは、自信をなくさせるところですかって…。
自信過剰で結構じゃないですか。
自信過剰だとしても、それで苦労するのは自分なんですよ。
そういって先生に食って掛かったら、先生、妙に納得してた。

確かに、苦労はしたけどね。
後悔なんてしてやしない。
自信なくしてウジウジしているより、余程幸せだ。

照れ笑いで誤魔化すのようそうよ。
暗くたって、重いと言われたっていいじゃあない。
生きるというのは大変なんだよ。
お前だけが苦しんだり、悩んでいるわけではないさ。

もっと真剣になっていいんだよ。
真剣に相談したって。
君たちの人生は、そんなに軽いものではないさ。

俺も、それなりに重く受け止めるさ。