耳元でね。
チョットずつ囁くのさ。
お前の事なんてみんな気にしちゃあいない。
信じちゃあだめだよ。
うまいこと言ったって、結局、誰だって自分が一番可愛いんだからさ。
綺麗事ばかり言ったってさ。
裏ではなに言ってるかわからないよ。
人を見たら泥棒と思え。

最初はね。
そんな事ないよ、なんてね。
聞き流していても。
でも、だんだんに不安になり。
周りの人が、信じられなくなって。
それまでなんとも思っていたことが、急に気になりだし。
確信に変わっていくんだ。

騙されてはいけない。
嘘ばっかり。
何でも疑ってかかれ。
先生の言うこと信じてはいけない。
騙されていたんだよ。
国や会社の言いなりなっては駄目だよ。
お前たちを利用することしか考えていないんだよ。

まあ、学校の先生は自爆テロみたいなものだけど。

でも、冷静に考えてごらん。
誰が、得するの。
そんな事、信じさせてさ。
少なくてもさ。自分ではないよね。
だって、何も信じられなくなるんだから。
不安になるんだから。
寄る辺なくなるんだから。

暴力は、無条件で悪い。
愛する人が、暴漢に襲われたてもさ。
逃げるんだよ。
恥なんって感じたら駄目だよ。
なりふりかまわず逃げるだ。
有名な評論家がいってたろ。
日本が侵略されたる、妻子も友達も投げ出して一目散に逃げると。
それが、賢い事さ。

尊敬なんてさ。
見せかけ。
真心なんてないの。
当たり障りののいこと言ってればいいの。
苦労なんてさ。
結局、やったて、やらなくたって同じ。
地道に働いたって報われない。
派手にさ。派手に目立つことをやる事さ。
巧言令色、少なし仁なんていたって。
人格が良くても、貧しかったらね。
尊敬に値しないよ。
仕事も、勉強も、適当にやればいいの。
真面目にやるだけ阿保くさい。
時間が解決するさ。
やたってやらなくたって、最低限の給料はもらえるし、合格もできる。
権利なんだよ。働かなくても。
世の為、人のために働くなんて、偽善者のいう事。
みんな自分の事しか考えていないよ。
お前、ひとりで何ができるの。
お前がいくら頑張っても何も変わらないんだよ。
馬鹿だね。
いざとなったら誰も助けてなんてくれないよ。

何も信じるな、誰も信じるなと囁きながら。
じゃあ、自分を信じろというのかと思うと。
自分も信じるなと囁く。
自信をもてとは言わず。
破廉恥になれと囁く。
徹底的に自分を、卑しめる。
誇りを失わせる。

日本は、負けたんだ。
日本人は愚かだったんだ。
戦前の日本人は悪かったんだ。
世界中に迷惑をかけたんだ。
謝れ。謝れ。

死だ者は、損した。
生き残った者はさ、得したんだよ。
汚く生き残った者はさ。
利口なんだよ。
信じる事に殉じるなんて馬鹿だよ。

お前は、駄目な人間なんだ。
ケチで、くだらない人間。
生きていく価値もない。
綺麗事を言うな、人間なんて汚くて、醜くて、ちっぽけなんだよ。
お前の事なんて誰も気にしてないさ。
お前、一人で何ができる。
何様だと思っているの。
思いあがるなよ。
結局、金だろ。金の為だろ。
欲さ、欲。
欲だけさ。
見て見ぬ振りをするのが賢い。
いい子ぶるなよ。
誠なんて笑わせるなよ。
誰もお前の事なんて認めたりしないよ。
自分のことだけ考えて。
自分の好きなことすればいいんだよ。

抵抗や叛逆こそ美徳だ。
反対や、批判をしていれば無難。

逆らって。
逆らって。

私達(親)のことなんて考えなくていいよ。
親孝行なんて時代錯誤。
迷惑さえかけなければ何をしたっていい。
意見というのは、反対意見。
質問をするのは疑っているから。
素直に従うなんて馬鹿のすること。
反抗期は、歳の性。一時的な気の迷い。

自主性、主体性。
三歳の子供にだって意志がある。
自分なり価値観、道徳があるんだから。
叱っては駄目だ。
躾なんてする必要ない。
楽しければいい。楽な方がいい。
嫌なったらやめたらいいよ。
辛かったら帰っておいで。
無理することないんだよ。
我慢なんて意味ないよ。
負けたっていいんだよ。
勝つ必要なんてない。
努力なんて何の価値もない。

長い時間かけて日本人の耳元で囁き続けて。
日本人を狂わせてきた。

形なんてどうでもいいのさ。
形式や、常識に囚われたらだめだよ。
礼節なんてさ。
封建的なんだからさ。
年寄りのいう事なんて、いちいち聞いていられるかっての。

なんでも、いいから、いいから。
硬いこと言わないで。
適当に適当に。
難しく考えない。
深刻に捉えない。
考えすぎだよ。
気にしない、気にしない。
俺関係ないから。
そんな大げさな。
真面目に考えたってだめだよ。
誰も助けてくれないよ。
諦めな。

他人を信じてはいけない。
素直に信じたら騙されるだけ。
服従なんて、馬鹿がするだけ。
素直に従ったら損をする。
正直者は馬鹿を見る。
年寄りの言うことは、古いふるい、時代遅れさ。
戦前はすべて間違っていたの。
伝統や歴史は、封建的。
愛国心なんて言うのは右翼。
ダサい。ダサい。
いい事などなにもない。

他人と違うことをしろ。
それが個性だ。
規律だの、統制だの、秩序なんて言うのは、全体主義者。
軍国主義者。
利用されてはいけない。

恩だ義理だなんて、古い、古い。
人や国に尽くしたところで最後は裏切られるんだ。
親のいう事は信じるな。
親たちが戦争を起こしたんだ。

新しい事が、なんでも正しくて、旧いものは悪い。
進歩、進化がすべて。
科学は、客観的で、絶対なんだ。

本音と建前があってさ。
本音は、別のところにあってね。
誰も本当の事は言ってくれない。

何も信じられないようにし、自分では、何も、決められないようにしてから。
洗脳にかかる。
少しずつ自分たちの思想を、さりげなくね。
刷り込んでいくんだ。

自分では、判断ができないようにしておいてね。
自分達を頼らなければ生きられないように思い込ませる。
お前たちは、何も決められない。
我々の承諾なしには何も決めてはならない。
俺たちの意見を聞かないで何も決めてはならないとね。

俺の話だけ聞いて。
俺の方だけ見て。
俺だけを信じてと呟くんだ。

正し事を正しと注意しにくい環境を作り出す。

誰にだって一つや二つ、不平や不満はあるさ。
それをうまく引き出してね。
誇張していくんだ。
お互いに不信感を持つようにね。仕向けるのさ。

愚痴や不平はね。
最初は、黙って聞いているんだよ。
肯定も、否定もしないで。
そうすると、相手は、心を許し、気が緩んで、油断をするから。
そうしたら、軽くね相槌をうつんだ。

そうすると、相手は自分の事、理解してくれたと勝手に思い込んで、誰にも言えない様なことを話してくれるようになる。

誰も、お前の気持ちなんてわからないんだよ。
お前の言っている事は、間違ていないよ。
でも、世間はね。
わかる。わかる。お前の気持ちはわかるよ。
でもね、俺以外の人はね。
理解してくれないよ。
そりゃあ、相手が悪いな。
少しは認めてくれてもいいのにね。
強制はいけないんだよ。
人は皆、平等なんだ。
そりゃあ、ひどいな。横暴だ。
規則、規則って押し付けは、駄目だよね。
世の中の大人はね。わかちゃいないんだよ。
何の権利があってそんな事を言うんだ。
他の人なんてどうでもいいのさ。
結果なんてどうでもいいんだよ。
要求する事は要求すればいい。
権利なんだから。
人は皆平等なんだ。
言いなりになっては駄目だよ。
付き合いなんて、どうでもいいんだ。
付き合いなんてしなくてもいい。
厭なら、断わればいい。
上司も、歳も関係ない。
礼儀なんて封建的だから。
横暴な指示は無視していんだ。
時間が来たら帰ればいい。
責任なんて言われてもね。
言われたことやってればいいんだよ。

こうやって、駄目押ししてくる。
一見、もっともらしく聞こえるけどね。
エゴだよ。
自分の我儘、身勝手の影響は、皆の負担になるんだからね。
結果に対しては全員が責任を負わされる。
そんな事、お構いなしだ。

それから、秘密を作るんだ。
他愛のないことでもね。
これは、俺とお前だけの秘密だって。誰にも言うなと。
それから約束するんだ。
そして、止めは共犯者にする。
賄賂やつけ届けね。
女を近づけるのもいいね。

相手の弱みを見つけたら、脅したり、すかしたりしてするよって来る。
弱みがなければ作ればいいのさ。

そうやって堕落させていく。
自分の道徳観、信義に背かせる。

俺の話だけ聞いて。
俺の方だけ見て。
俺だけを信じてと呟くんだ。

そうやって、虜にしていく。
逃げられないようにね。
左翼やカルトのオルグの典型的手段。

徐々に、徐々に、社会から孤立するようにね。
迫害や、弾圧は、組織の結束を高める。
お前は選ばれたんだ。
お前が信じられるのは、俺達だけだ。

俺のいう事だけきていればいいんだよ。
そう言って隷属させ。
あいつは、俺のいう事しか聞かないよと、周囲に触れ回り。脅す。

そうやって、カルトに、過激派に、隷属させられて破滅していった連中を、何人も見てきた。

少しづつ、少しづつ。
耳元で囁きながら。
誰もおかしと感じないようにね。
警戒心を持たせないようにね。
これくらいは大目に見てくれるだろう。
こんな些細な事を注意するなんておかしいよって。
傍にいない。そいう人間が。
へんに物分かりいいけど。
何も仕事のできない人。

そうして、自分では、何も決められないようにして。
何も解決できないようにして。
お前たちは奴隷なんだ。
俺たちが決めた事に従うしかないと。
今も囁いている。

学問は、三流。
仕事はできない。
精神的には脆い。
気位だけは高い。
これで、国力が落ちたら、最低だ。
もう日本は、世界に太刀打ちできるものは何もない。
いい加減、目を覚まさないと。

戦争の負けた時は泥沼から這い上がるという気迫があた。
今の若者にはその活力が見えない。
地獄は辛い。しかし、自分たちは地獄にいるという自覚がある。
もっと恐ろしく、苦しのは、天国にいる者が一つ下の天国に堕ちる事だと言われたことがる。
恵まれているからこそ、苦しみは倍増するのだ。
底なしのない闇に落ちていく。

問題はバランスだよ。
行き過ぎた規制や、暴力には反対だ。
しかし、同様に、社会の秩序や道徳が失われるほど常識が失われるのは異常なんだよ。
おかしい事はおかしいし。
おかしいという事さえ口に出せないようになったらそれこそ強圧だ。
まともに社会生活を送れなかったり。
鬱になったり。
仕事ができない人間が増えるのは、異常な事なんだよ。

弱者の戦法なんだよ。
自分に力がないから、大衆を扇動して、利用し、寄生しようとする。
日本人の心を内側から蝕み、ボロボロにしてしまった。
本当の敗北はこれから始まるのだ。

もういい加減、自分の国のために働こうよ。
他の国の人のいう事に振り回されずに。
目を気にしないで。
自分の国のために働いたからって、国粋主義者と言うのおかしよ。
自分が生まれた国が好きだって、かわているわけではないよ。
普通なんだよ。

冷静に、考えてごらん。
どうすれば、一人前の社会人として生きていけるか。
自分の力で、世の中で生きていけるか。
一人の日本人として責任を持てる人生を送れるかを。