中国は、アメリカに勝てるか。
今の中国の体制では、アメリカには絶対に勝てない。
何故なら、中国は中国だからである。
中国の体制が成り立つのは、中国国内だけである。
もし仮に中国がアメリカに勝とうとしたら、中国の圏域を限りなく拡大していくしかない。
しかし、それは、制度的に不可能である。
AIと全体主義は、親和性が高いと錯覚している人がいるが、それは全くの誤解である。
AIの基盤は、ネットワークであり、集中処理を基本とする集権制との親和性は低い。
それは、統制経済や計画経済と自由市場の違いと同じ理由である。
ネットワークの基本は、自由市場である。
自由市場だからこそ、ネットワークは、その真価を発揮できるので、中央で集中管理しようとした途端、AIは機能しなくなる。
それは、統制経済が破綻したのと同じ要因である。

最近、AIに人間が支配されるとか、敗けるとか、馬鹿げた妄想に取りつかれている人が増えている。
中には、著名に科学者も含まれている。
本来はAIを正しく理解しているはずの人達なのに。

仮に、AIが支配の道具に使われたり、兵器として使用される事があるかもしれないが、その根本は、AIも道具に過ぎないという事である。

AIに支配されることではない。
組織を動かせる人がいなくなって、AIでしか組織が動かせなくなることが怖いのだ。

AIによって人間が管理されたり、支配される事があったとしても、それは、道具としてAIが活用されている事を意味しているのであり、背後には、何らかの人間の恣意が働いている。
AIに支配されるというのは、それを誤魔化しているのに過ぎない。
車がいくら自動化されたとしても、車を活用するのは、人間である事を忘れてはならない。
問題になるとしたら、車が自動化されることによる経済に対する影響である。
要は、分配の仕組みの問題である。

AIは、膨大に膨れ上がる情報を処理する分野で力を発揮する。
しかし、それは、システムそのものの負荷も無制限に大きくする事を意味している。
集中処理しようとすればするほどシステムの効率や構造的強度は低下する事が予想される。
メンテナンスだけでも膨大になる。
小さなシステムと大きなシステムとでは、構造そのものが違ってくるのである。

AIが人間が恐れる程の力を持つとしたら、なぜ、今回のコロナを未然に防ぐことはできなかったのか。
AIが人間を支配できるだけの威力を発揮するとしたら、未然にコロナを防げたであろう。
しかし、AIによって未然にコロナが防げるとしたら、人類にとってこれほどの貢献はない。
全体主義の問題は、コロナを未然に防げなかったという点に象徴される。
逆に、コロナが流行った後の対策で成功したのは、全体主義の強みである。
しかも、コロナを抑え込む事が出来たのは、中国の力が及ぶ圏域内においてである。
この点が、中国の弱味であり、強みである。

では、中国にアメリカは勝てるか。
アメリカも中国には、勝てない。何故なら、アメリカは、アメリカだからである。
アメリカの建国の精神がアメリカが中国に勝てない理由である。
アメリカが中国と戦う事になれば総力戦となる。
総力戦を戦い抜くだけの国民的合意が、得られるかどうか。
国民的合意が形成されなければ、アメリカは中国には勝てない。
それはアメリカの弱味であり、強みである。

現在問題なのは、アメリカが中国に勝か、敗けるかではなくて、中国が自分の圏域を拡大とした時に起こる境界線上の衝突である。

中国がアメリカを越える事があるとしたら、それは中国が先祖返りした時である。
中国が先祖帰りするとは、易経を正しく活用した時である。
ただ、それは、中国のみならず、アメリカを含んだ、全世界にとって福音となるであろう。だから、怖れる必要はない。

日本人は、どうあるべきなのか。
日本人は、日本人としての節義、日本人としての名誉のために戦う事を怖れてはならないが、不毛な戦いは避けるべきなのである。
命をかけて守らなければならなければ戦うべきであるが、不毛な戦いは戦う意味がない。日本人は、まず自国の信義を確立し、それに基づいて不毛な争いが起こらないように誠心誠意働くべきである。
その為には、最初から戦う事を放棄してはならないのである。
信義、志のために戦う覚悟があってこそ、信義、志をもって調伏することが出来るのである。

わかっていない人は、問題だが。
それ以上に問題なのは、わかっていないくせに、わかっていると言い張る人だ。