「段取りができないんだよ。」と親父に嘆いたら。
「チャンと教えていないお前が悪いんだ。」と叱られた。
「でも、話を聞かないんだから。」と言い返すと。
「言い訳はするな。」と、また、𠮟られた。
言い訳をするわけではないが、本当に、素直に先輩の指導を後輩は聞かなかった。
それで、定年まじかになっても、段取り一つできない。仕事の基本が身についていない。
身についていないから、次の世代に伝えられない。
伝えられるのは、先輩を馬鹿にすること。
偉そうにして、他人の性にすること、ごまかす事、虚勢を張る事、取り繕う事。

「ごまかすこと、嘘つく事、楽することを若い時に覚えると後で苦労をするよ。
若い時は、買ってでも苦労しろ。」と。

学ぶ意思のない者を教えることはできない。
残念ながらね。

先輩は、若いうちに基本を身につけておかないと、年をとってから苦労をするよ。
口を酸っぱくして言っていた。
実際、先輩たちの言った通りになった。
でも、後輩は、未だに自分たちの勉強不足を認めようとしない。
だから、この国は駄目になっていく。

本当に、最初、懇切丁寧に、親や先輩は、教えてくれた。
それこそ、ドアの開け閉め、箸の上げ下ろしまで厳しくしつけられた。
でも、面倒くさい。鬱陶しいと聞く耳を持たなかった。
躾けの部類なんだよ。その証拠に、落語を聞けばわかる。
落語では、仕事の段取りや礼節、口の利き方に関した話がおおい。
親父達は、「小学校しか出てない俺だって、高卒でもそんな当たり前にできる。
最高学府出た者ができないはずあるまい。」と言うから。
「最高学府出たからできないんだよ。」と答えた。
養老孟子が「大学に行く。」と街の婆さんに言ったら。
「大学なんかにいったら馬鹿になるよ。」と言い返されたそうだ。
昔はそうだったんだよ。
仕事の基本は、難し事は何もない。
ただ、身につけるのが難しい。
一種の修練で身につける。修行である。
頭のいい人ついつい馬鹿にする。
馬鹿にして手を抜くとすぐに忘れる。
ゼロからやりなしになる。
躾けは、教える人によってばらばらになる。
だから、マニュアルが取って代わる。
しかし、心は、仕事の基本は、マニュアルでは伝わらない。
基本は、大筋を教えたうえ、現場に合わせ躾けていくしかない。

「最初に確認するのを忘れるなよ。
後で聞きなおすのは難しいし、気も変わる。
最初に確認しておかないと、言い訳はできないからな。
確認は、仕事の基本だよ。」

料理人は、料理を作るのが仕事。
ああだ、こうだと講釈するのが仕事ではない。講釈たれる暇があったら包丁を研げ。
人が作った料理を批判、批評、評論する前に、先ずは、俺が食べらる物を持ってこい。

料理の仕方、基本、道具に手入れの仕方、支度、準備、後始末の仕方は教えられるけど、料理をするのはあなた。
料理は、支度するところから始まっていて、後始末迄含まれる。
後片付けも、満足にできなけりゃ、一人前の料理人とは言えない。
身支度が清潔でなければ料理をする資格はない。
料理は、基本を覚えただけでは自分のものにはならない。
基本をものにしてから自分なりの工夫をする。
自分なりの工夫をするのはいいけれど、それは、基本を身につけてから。
先ずは、基本を身つける。

とにかく、人の話をよく聞け。