創業期は、言われなくても、それこそ、店番のおばちゃんまで工夫して節約をしたものさ。

一人ひとりが自分が何をすべきかがわかっていた。
それは、会社の経営が自分の生活に直結していることを肌で感じていたから。

日立は、ケチ立とまで言われ、電灯、一つひとつにスイッチをつけ、水道の蛇口が開かないようにした。
トヨタは、鉛筆一本一本、確認して支給した。

他の業界は流行り廃りが常識で今年流行ったものが来年一つも売れないなんてことが当たり前。
毎年まいとし血の滲む思いして予算を立てる。
去年と今年の実績が来年も保証されているわけではない。

自分の思い通りにならないからと言って、癇癪を起すのは、子供のすることだよ。
世の中、思い通りにならない事ばかりさ。
それでも、仲間を思い、家族を思い、世の為、人の為と我慢して、何とか打開した。
お蔭で、一人では、越えられない限界も越えてきた。
自分お為に我慢できない事でも、みんなの為に我慢する。
それが大人だよ。

世の中なんて自分の思い通りにならない事ばかりなんだからね。
それに一々腹立てていたら生きていけないよ。
だから、自分が信念をもって是々非々を明らかにするしかない。

組織において指示命令は絶対だよ。
勝手に指示命令を変えたら、組織の統制はとれなくなる。
ラーメン頼んだのに、カレー出された客は怒るだろう。
赤い車、頼んだのに、白い車持ってこられたら客は納得すると思うか。
猶更、仕事で指示された事と違う事をして許されると思うか。
傲慢とかいうレベルの話ではない。
あからさまな反抗。
特に、中間いる者に指示を無視されたら、責任の所在がわからなくなる。
指示命令を違えるのは、明らかな叛逆、抗命だと言う事を忘れないよう。

昔、親父が会社の庭に、桜を植えようとして、桜を買ってくるように命じた。
桜を買ってくるように命じられた者が、ヤマモモ勧められてヤマモモを買ってきた。
親父は烈火のごとく怒った。
ヤマモモを型来た者は、気をきかせたつもりかもしれないが、命令違反は命令違反。
戦争を経験した親父が許すはずがない。
命令違反が組織にどのような影響を及ぼすか熟知していたからである。

人の悪いところを正すのは勇気がいる。
相手に嫌われるのは嫌だし。
逆恨みされたらたまったものではない。
しかし、仕事となれば話は違う。
悪いところを改めてもらわないと、人間関係がうまくいかなくなり、組織が壊れてしまう。

友が誤った道に進もうとしたら、友情を掛けて友を殴る。
殴れば友でなくなるかもしれないが、殴れなければ、最初から、友ではない。