既視感があるんですよね。
どこかで聞いたような。みたような。
丁度、バブルが弾ける直前の時のような、リーマンショック直前の時に戻ったような…。
あの時も、漠然とした不安がある一方で、いけいけの高揚感があった。

最近のテレビ見ても、これまで、株なんてした事のない若者が株を始めたとか、得体のしれない評論家が出てきたり、わけのわからない理論が唱えられたり。
違うというのは、それでも当時は何が何でもという凄味や緊張感がありましたけど、それが感じられなくなってフワフわした。
それがかえって不気味なんですね。

皆、バブルの時代の高揚感や華やかさ、派手さばかり言いますが、根底には、退廃的で、投げやりな、失望感のようなものが漂っていたんです。
ニクソンショックとか、オイルショック、そして、円高不況みたいなものがありまして…。

でも、今は昔。それが、時折、フッと当時の記憶が蘇るんですね。
高度成長が終わり、学園紛争も、反ベトナムも、反公害闘争も、嘘のように消えて、低成長時代に突入した。
時代の先が見えなくなって、真面目に議論するのが辛くなり。フォークソングやロックと言った主張のある歌から、アイドル中心の時代に変わっていった。

高揚感の裏側に、何とも言えない、焦燥感とか、焦りみたいのがあって。
それが、地道な努力を捨てさせて、柄にもない事に皆を追い立てていった。
努力して本業で稼ぐより、株や土地転がしをした方が大きな利益を上げられる。
本業が儲からなくなったという焦りですね。
それが、人々を博打のようなものに駆り立て、正直に勤める事を馬鹿にするようになっていって。
いつの間にか、親父たちの言う事を聞かなくなっていった。

何もしない事は、愚か者に見えて。
その気になりかけたら一気に弾けて。
あれよあれよという間に、萎んでいってしまった。

幻のような。今、思えば何だったのだろうと。
過ぎてしまえば、狂騒と言われても。
そして、心の奥に旧いアルバムの中に記憶は、深く深く仕舞い込まれ。
いつか忘れ去られていった。忘却。

あの頃の記憶が、何かの拍子に蘇るんですね。
それが、何かを暗示している気がするんです。
ただ、この緊張感のなさは、何なんでしょうね。

くわぱら、くらばら。
用心。用心。
そんな予感がするんです。