答えを出すのではなく。
結論を出すのである。
学校生活が長くなると、答えを求めて、結論が出せなくなる。
誰を好きになるかなんて答えはない。
答えがあるなら、皆、同じ人を好きになる。
人は、皆、それぞれ、生き方も価値観も違う。
だから、結婚生活は成り立つ。
私はこの人と生きていくと結論付けるから、結婚できる。
答えを求めたら、一生、結婚なんてできない。
答えは、共に生活していく中で出していくのである。
人生を決めるような事に答えなんてない。
あるのは、結論である。

人には、自分の思い通りのできる事とできない事がある。

人には定めがある。
自分の肉体だって思い通りにはできない。
早い話、人は、老や病には勝てない。
生病老死から逃れられないのは、人の定めである。
確かに、医学の進歩は、病を克服したかに見えるが、病そのものを根絶できたわけではない。
コロナにこれほど苦しめられる。
医学の進歩は、人を癒すかもしれないが、傲慢にもする。

プーチンのような人でも、定めから逃れる事はできない。
プーチンも人の子なのである。
老いも進行し、死も確実に近づいている。

人には意志がある。
意志によって変えられる事がある。
それが希望である。

確かに、人には定めがある。
しかし、人には、自分の意志によって変えられる事がある。
そして、自分の意志で変えられるところに、人としての可能性がある。
希望があるのである。

それこそが、神の意志である。

不易、変易、簡易。

自分に何ができて、何ができないか、それを、見極めないと、人は希望を失う。
救いようのない深い深い闇に堕ちていく。
人は、一人では生きていけない。
全知全能の神にはなれない。

力は、己を成長させもするが、堕落もさせる。
欲があるから生きる活力が生まれる。
しかし、欲に敗ければ、人は自滅する。
科学は、人の生活を向上させるが、人を残忍、暴虐、傲慢にもする。

人それぞれ、できることできない事がある。
できる事、できない事は、皆、同じではない。
違っている。差がある。
それ自体が差別を生むわけではない。
差別を生むのは、人の意識である。

歳を取ると、若い頃にできた事が出来なくなる。
しかし、反面、若い頃にはできなかったことができる様にもなる。
それが、経験であり知恵である。
歳とともに失うものもあれば得る事もある。

日に新たに、日々に新たに、また、日に新たなり。
老いは定めだけれど、修練鍛錬は人の意志。 

己の限界を知った時、前途に希望が見えてくるのである。

国破れて山河ありというが、現在の戦争は、山河を焼け野原に変えてしまう。

簡単なことを難しくして、難しいことを安易に片付けようとする。

以前、日立のシステム技術のトップが、システムの極意なんて単純さ。
動くべきところが動いて、動いてはならないところをうごかさないことさ。
ただそれが難しいと話されていた。

科学は、複雑な事を単純にすること。
それを、科学を知らない者は、単純な事を複雑にしてしまうと教えられた。
力ない者は、簡単な事を難しくして、困難な事を安易に片付けようとする。
大事業というのは、複雑な仕事を、誰にでもできる作業に置き換えていく事。

簡単な事を、難しくするのは簡単だ。
難しい事、簡単に説明するのが、難しい。
一流の科学者は、難しい自然の摂理を小学生でもわかるように説明する。
ただでさえ難解な法則を、専門用語を意味もなく使って、専門家でも、理解できないように、説明する科学者は、三流だ。

始まりは難しく、何も見えない、わからない。
だから、形、定石にして単純にしておく。
それを、はじめから難しくしてしまう。

テストではないからな。
答えが決まっていて、採点するためにするんではなくて。
一緒に答えを探すために、話し合ったり、会議をするんだからな。
クイズ番組が大流行りで、一流大学を出た者が、自分の知識をひけらかす。
あのれの未熟さ、浅はかさをあからさまにしているのがわからないのだろう。
最初から答えのわかっている事を競ったところで何の役にも立たない。

養老孟子が、古老に、大学に行くと馬鹿になるよと忠告されたのも、むべなるかな。

なぜ、ロシアは、ウクライナに侵攻したのかなんて、クイズではないから。
正解が出せるとも、その場で答えに至るとも限らない。
むしろ、大切なのは、自分なりの結論が出せるかで。
自分が出した結論に従って生きていくのだから。
その点、間違えるなよ。
自分なりの結論を出すのが目的だから。

プーチンが見れる世界、知る事の出来る事は自ずと範囲が限られれている。
確かに、プーチンにしか見えない世界があるが。
プーチンが見る事のできない世界の方がより広い。
プーチンは、鷹にはなれないし。蛇にもなれはしない。
一兵卒が見る世界と大統領が見る世界は違う。
起きていられる時間、食事の量も変わらない。
限られた時間、限られた空間しか知ることはできない。

ウクライナ侵攻も、教科書通りやって、教科書通り失敗した。
人知の及ぶ範囲なんて広大な宇宙の中では、砂粒よりも狭いのである。

人には定めがある。
しかし、人には意志がある。

プーチン大統領も一年たてば、一つ歳をとり、一日いちにち、死に近づいていく。
人は、死の前に平等なのである。

神の前には何もない。
あるのは、自分の純なる魂だけだ。