ハッキリいって、始める事だよ。
皆は、どう思っているかわからないけどね、振り返ってみて思い通りになったとか、上手くやったと思えるなんて事なかったな。
とにかく、無我夢中でやってきたというのが本音さ。
失敗だらけだったし、何度も挫折もした、信頼した部下に何回も裏切られたり、そうかと思うと、死なれたり。
上手くやったと思っても一時ですぐに次の難問が降りかかる。

上手くやったなんて、思わないけど、一生懸命生きてきたというのは、偽らない気持ち。

実際、何が正しくて何が間違っているかなんて考える時間なんか与えてくれない。
よくリーダーは、全てを見通して、計算づくなんて言うけど…。
そんなのは、後付けか、自慢話に過ぎない。
その時は、何が何だかわからない。ただひたすら、訳も分からず決断するだけ。
実際は、先の事なんて見通せる事なんてできやしない。
ただ、ひたすら前へ向かって格闘しているだけさ。
でも、諦めってしまったら、お終い。
自分の力で生きているなんて、言えなくなる。自分でなくなる。魂がなくなるんだよな。
だから、はじめるしかない。生き方はじめだよな。
人生なんて一山越えたら、次の山。エンドレスさ…。
何か成就したとしても、それは終わったこと。
自分から手離れていく。子供は、大人になったら巣立っていく。
それが、子育ての目的だから仕方ない。過去の栄光なんて陳腐になっていく。
俺も新たな挑戦をしている。
何に挑戦しているかというと、人作り。一人でも多くひとり立ちできるように挑戦する。
だから、僕にとって皆は、一人ひとり。団子ではない。
全体は一塊に見えるけど、僕にとっては一人ひとりの集まり。
一人でも多くひとり立ちできるように挑戦する。
だから、他の人間の陰に隠れて自分を出さない人間が問題。
自分の頭で考え、自分の足で歩き、自分の手で掴む。そういう人を育てる。
僕は、それに挑戦している。
でも、相変わらずなかなかうまくいかないな。思い通りにならないね。

気が付いたら、来年、俺も、六十八さ。
先月、小学校時代からの友達から電話があってね。末期の癌だって…。
会いたいと言ったら「会いたくねえよ」だと。コロナもあるし、体調も悪いという。
あいつにはあいつの矜持もある。
あれは「おわかれ」の電話だったんだな…。
振り返ってみるとね。あっという間さ。人の一生なんて。
皆に言いたいのは、あっという間に時間は、過ぎていくという事。
この一瞬一瞬を大切にしてほしい。
なぜ、若い人たちにというとね。若い時にしかできない事ってたくさんあるんだ。
でもね。若い時には気が付かない。まだまだ若いってやり直しがきくって思いこんでいる。
俺の仲間が五十過ぎても、まだまだやり直しがきくって…。
若いつもりでいたんだよな。だから言ったんだよ。「馬鹿野郎もうを若くはないよ。」
だから、若い皆がね。一人ひとり自分の足で立っていけるように。
自分の力や判断で道が開ける様にしよう、すると…。
俺はね、何年か前に決心したんだ。
そりゃあ、面倒くさいし、何でと思うかもしれないけれどね。
でも、後何十年も、皆の面倒を見てやれないんだよ。
俺が元気なうちにね。失敗してもいいから。臆病にならず。
一つでも二つでも、自分の考えで挑戦してごらん。
無理したり、片意地張らなくていいからさ。
一つ上の限界にね。挑戦してごらん。一つ上の限界にね。

内心、変える必要がない、変えたくない、全面的に変える事はない、めんどくさい、自分にはできない、解らないと思ている奴に任せても、何も変わらない。
現状に満足している人間に変革はできない。
現状に不満があるから変革するんで、現状に満足している者は、変えてほしくないだよ。
そういう奴は抵抗する。そんな奴に任せたら面従腹背するだけ。
特に、歳だけっとって向上心のない奴は一番始末が悪い。
自分の事しか考えていないからね。
だから、変革の担い手は、いつの時代でも、若者。
若者も年をとる。そうすると現状に妥協するようになる。
変革は、気力体力を必要とするからね。
だから若いうちに経験させるしかないんだよ。
歳をとる前に。現実と折り合うようになる前に。
青臭い時に、経験させるしかないんでよ。
経験不足だとか、未熟だとかはさ、年寄りの未練。
自分達だって始めがあったんだから。
経験が不足しているというなら、尚の事、任せなさいよ。

今の、日本が駄目なのは、なんだかんだ言っても恵まれているからね。
でも、できる時に変えないと手遅れになるからね。始めるしかない。

今、決断できない奴が三年後に決断できると思う。
今、始めない奴が、五年後にできるようになるなんて思わないよ。
今、始めるから五年後が期待できる。
最初の一歩だよ。
三年待って、それでも、決断できない奴は、次はないね。