人と人との絆って何だろうね。

仕事に対する考え方。
会社や社会、組織とのかかわり方も変わってきているけど。

組織に帰属するのか。
仕事を基準とするか。
自分が、世の中に、どれだけ貢献したかが問題なのか。

自分が、世の中、人々から何を求められているかだよね。
必要とされているか。

今の経済の仕組みの根本は、他人のために働く事が自分を生かす事である。

最終的にね。
何のために、誰のために働くのかだよね。

そこが肝心なんだよ。
自分だけのために働けるか。
何が残せるかだよね。
若いうちはいいけど。
自分の何を評価するかだね。
全人格的のものか。
才能、能力なのか。
その点を錯覚すると、人との絆がね失われてしまう。
人と人とを結び付けているのは何か。
金、情、信頼、役割、仕事、志、夢。
結局、何のために、誰のために生きているのかに、行き着くのさ。
だから、慎重にならざるを得ない。
僕らは、一生、伴に生きていける人をね。
追い求めていたんだよ。

怖いのは、自己喪失さ。
ある日突然、自分が、よって立つ地盤が音もなく崩れ落ちること。
自分が何者なのかもわからなくなる。
大地の様に不動なもの信じていた存在が忽然と消え去る。
最後は、自分が何によって立っているかを見失わない事だよ。
絆をね。
親父は縁を大切にしろって言ってたけどね。

深い深い闇だよね。
近づくと吸い込まれていくようなね。
大きなお屋敷なんてね。
俺には、人の臭いがしないんだ。
だから、住みたいなんて思わない。

若さは時として人を傲慢にする。
できないことは仕方ない。
すぐに投げ出す事が問題なのだ。
辛抱、我慢、根気が効かないのが悪いのだ。

若者たちに忠告するよ。
若い時にしかできない事はたくさんある。
やり直せるなんいて、安易に信じてはならない。
人生には、やり直せない事が一杯ある。
簡単にあきらめないで我慢することを覚えることだ。
それでも自分は、向いていない事に気が付いたなら。
覚悟して、転身する。

人生はやりなせるなんて言うけれど。
取り返しのつかない事はたくさんある。
永久歯は一度抜けたら生え変えることはない。
年齢は不可逆なのである。
ピークを過ぎたら確実に衰えていく。

若者よ、自分が必要とされているうちに、自分の居場所を確保することだ。
自分が必要とされている事を自覚しなければ。
結局、必要とされなくなる。
自分の居場所がなくなてしまう。
人は一人では生きられない。

どんな人の人生にもいい時と、悪い時の波があるの。
いい時ばかり夢見ていれば幻になるし。
悪い時ばかり、見ていたら、絶望するしかない。
だから、いい時も、悪い時も変わる事のない人との、絆が大切なの。
若い人は、何時でもやり直せると錯覚している人多いけど。
できる時にやる抜かなければ後がなくなることを知る必要がある。
その時大切なのは、どんな時にも変わらぬ人と人のつながりさ。
だから、親父は縁を大切にな。大切にしろよと。

移ろいやすい世の中や心の内に惑わされると自分を見失ってしまう。
自分を超えた何者か、絶対的存在に、おのれの存在の根源を、見ださなければ、安心立命は得られない。
心休まる時は得られない。

定年退職のどこが残酷なのか。
それは、それまで築いてきた人間関係。
世界が、一瞬にして消え去る事さ。
幻のようにね。
残されるのは、行き場のない孤独。虚しさ。

昔はね。
隠居をしても人間関係は失われはしなかった。

何を得て。何を失うか。