力のある者が力のない者に合わせる事は出来ても、力のない者が力のある者に合わせる事はできない。だから、力がある者が力のない者に合わせられるように組み立てるのが組織の原則。
簡単なようで、これが難しい。
人間は、感情の動物だから。
力がない人間が力のある人間を指導したり、合わせようとしたら、土台無理が生じる。
力のない者は、力のある者に合わせてもらう、指導してもらうしかない。
しかし、その為には、力のない者は、自分が相手より劣る事を認め相手に伝えておく必要があるからね。全てにおいて劣っているのと言っているのではない。
ただ、相手の優れたところを認め、受け入れ、それを相手にわかるようにしておかないとね。
自分が相手より劣っている所を認め受け入れるというのは、特に歳をとってくると難しくなる。
年齢だの、性別だの、人種だの、学歴だの、家柄なんて言うのにこだわっていたらさ。相手の優れている所を受け入れるなんてできやしない。できるはずがない。
そんなつまらない事、さらりと捨ててね。
真っ新な目で、素の相手を見る事さ。
素直に、相手が自分より優れていたら、感動する事だよ。

問題なのは、力のない人が、力のある人を自分の言いなりにしようとする事。
別に役割が違うんだからさ。
相手の力を認めたところで自分の沽券にかかわるという事はないんだよ。
野球は、一人ではできないんだよ。ピッチャーもキャッチャーも三塁手も、皆、一人でやりたいと言っても無理なんだよ。
自分が一番自分の能力を発揮できる守備位置を与えられるが一番さ。
主役だけで舞台は成り立ているわけではないさ。
脇役も必要なんだよ。
もう六十にもなって四番打ちたいなんて強情はるなよ。
見苦しいと言われるだけだよ。
自分の限界を認め、仲間を尊重するからチームが組めるんだよ。
下らんことで人を見下そうとするから。
言いなりにしようとするから仲間が見つからないんだよ。

残念ながら、歳をとると力が衰えてくる。仕方ないじゃあないか。
なのに、自分の力の衰えを認めようとしないでさ。
若い時と同じように、若者と同じように振舞おうとするから駄目なんだよ。
そりゃ、単純に駆けっこしたら若い者にかなう訳ないじゃあないか。
そんな事、考えるから最初から敗けるんだよ。
譲るべき事は譲ったっていいじゃあない。
そんな事、自分の人間性にはかかわらない事さ。
そこで、妙に突っ張るから人間性が疑われる。
もう若くはないんだよ。

自分の力の衰えを認めようよ。だからと言って自分が必要とされなくなるわけではないんだからね。
要は、邪魔になるからいけないんだよ。
邪魔をするからいけないんだよ。
できもしない事をできると言い張ったり、わかりもしないこと知ったかぶるから。
できない事はできない。解らない事はわからないそれでいいんだよ。
できもしない事できるなんて言うから邪魔になる。

最初は、わかったつもりになっても、いざ実際にやろういう段になると、どうしたらいいのかわからない事が多い。それが普通だけどね。
でも、わかりましたと言った手前、聞き返す事もできない。
でも、そういう時は、聞き返すんだな。
曖昧な記憶で仕事をした方が怖い。大概、甘く考えるなと相手は怒るけれど。
そういう時は怒られておけと親父。
仕事は、確認せず間違った仕事をする方が怖いし、言った言わないという議論になったら、上司や客が強いに決まっている。
記録を残さなかったり、確認しなかったお前が悪い。
大体、解らないな、おかしいなと思うところに確信が隠されている。
だから、曖昧にして誤魔化したり、意図的に隠したり、言わなかったりする。
そこで詰めなければ、確認する事も、聞き返す事さえできなくなる。ずるいんだからね。
任せるなんて言うけど、結局、責任逃れに過ぎない。
簡単でもいいからメモを取っておけば確認もとりやすいし、証拠にもなる。
メモを取っておけば、確認をとるにしても、相手に対して口実にもなる。
だから、メモを取る癖をつけろ。
軍隊では、靴に足を合わせろと言われたが、ぶん殴られても足に合った靴にしてもらった。
そうしないと生き残れないと親父。生き残るためならなりふり構わうな。

友達との間では、くどい奴、しつこい奴、粘る奴、細かい奴は嫌われる。しかし、仕事では美徳。何故なら、仕事は間違いなく確実にやることが求められるから。

仕事で一番面倒くさいのは、起点と繋ぎの部分。
いざ仕事を始めようすると、必ず、わからない事、聞き落した事の一つ、二つは見つかる。
そういう時は、確認する。わからなくなったらすぐ確認する。甘く考えるな。
親父や先輩に、そう言われ続けた。
何かあったら、すぐに確認したか聞き返された。
いい加減な受け答えしたら、確認してこいと怒鳴られた。
親父は戦場で確認しないで全滅していった部隊をいくつも知っていると呟いていた。
簡単に確認と言うが戦友の命がかかっているんだともね。
確認しろ。詰めろ。詰めろ。詰めろ。
詰めは厳しく。