なぜ、バブルが発生し、また、何が悪かったのか、問題点を明らかにしたうえで、将来を見通し予測を立て、不測の事態に対する対策を作るための下地を作るのがこのレポートの目的である。 以上の目的を果たすためには、まず、経済の変化の概要をつかむ事が前提となる。
不規則な変化と規則的な変化がある。規則的な変化とは、何らかの周期性があることを意味する。規則的な変化の背後には、何らかの法則が隠されている。この法則を探すのが一つの目的でもある。 大きな変化の典型は、GDPや人口、所得等がある。小さな変化、小刻みな変化には、為替、株価、物価などがある。ただ、表に現れる変化は、いくつかの要素、波が複合されたものである。 要素間の関係、特に、相関関係、因果関係をつかむことが予測の第一歩となる。 もう一つ重要となるのは、人的に作為的起こされた変化なのか。無作為な変化なのかである。更に、管理可能な変化か、不可能な変化を明らかにすることである。 変化には、全体的な変化と部分的な変化がある。一般に変化は、局所的、部分的変化が連鎖し、発展して全体的な変化になる。大きな変化には、予兆、兆しがある。大きな変化を予知するためには、予兆、兆しを的確につかむことである。兆しとは、異常なことである。 変化を引き起こす原因や要因には、場に働く力と要点に働く力がある。 場に働く力には、階層ある。底辺で固定的な層を形成するのがストックで、表層を形成するのがフロー、すなわち流れである。 以上の事を予め想定してモデルを構築する。 変化の枠組みは、時間の単位を基準とする。時間の単位は、ポイントと期間からなる。単位は、時間、日、月、四半期、半期、年がある。また順序を基本として時間の単位にとらわれない場合もある。いずれにしても変化の枠組みは、時間を基本とする。
流れを読む時、鍵となるのが異常点や分岐点である。異常点や分岐点を察知するためには、まず、定常な流れ、正常な状態を定義する必要がある。
経済を動かしているのは、流れ(フロー)である。流れを作り出すのは、残高の過不足(ストック)である。すなわち、人口の過不足、人の移動の流れ。物の過不足、物の流れ。「お金」の過不足、「お金」の流れが経済を動かしている。 人、物、「お金」の過不足や流れの状態に潜む異常点、転換点(分岐点)をいち早く察知し変化に備え、制御するのが経済政策の本旨である。
ここで重要なのは、経済を直線的な論理でとらえるのではなく。空間的、構造的、形としてとらえることである。要するに、複数の要因が相互に影響しあいながら同時並行的に変化していく。ゆえに、ゲーム的な感覚が求められるのである。
###バブルが発生した時の背景、大きな流れ、トレンドを理解しておこう。 次にバブルを引き起こす要因を時系列にそって明らかにしていきたいと思う。 また、経済の仕組みは、資金の過不足によって動かされている。故に、部門毎の資金の過不足の状態を残高、フロー、過不足からとらえておく必要がある。 大きな流れとしは、GDP、地価、為替、株価、原油価格、所得、物価、金利、人口などがある。 鳥瞰的にGDP、人口、地価、金利、為替、原油価格の推移によって全体像をつかむ。
###全体の変化である。 まず「お金」の変化である。「お金」の変化は、為替や負債、金利に現れる。 人、人口が基本となる。また、失業率や所得などにも表れる。 物は、物価や原油価格などに現れる。
###経済全体の変化を表す代表的な指標は、GDPである。今日の経済指標は、GDPに集約されているといっていい。 故に、GDPを目的変数として、総人口、雇用者報酬、付加価値、収益(売り上げ)、民間消費支出などを説明変数とする。 説明変数の中でも総人口は、長期的な変化であり、経済の基礎を形成している。 また、生活をしていくうえで欠かせない必需品一人当たり消費量の絶対量には限りがある。例えば、食料や土地、衣服等は有限である。バブルの際、地価は上昇したが、土地の絶対量が極端に変化したわけではない。バブルの時、実需とかけ離れたところで地価は、異常に急上昇したのである。
年=YEAr。x1 為替 円・ドル=yen a1 為替 ドル・円=dollar a2 日経平均=the Nikkei stock average a3 公示47住宅指数=housing index。a4 総人口=Total population a5 消費者物価指数=CPI Consumer price index a6
総生産=GDP y3
library(readxl)
soukan <- read_excel("~/soukan.xlsx", sheet = "soukan1")
soukan2 <- read_excel("~/soukan.xlsx", sheet = "soukan2")
bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
bb2 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb2")
bb3 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb3")
bb4 <- read_excel("C:/Users/keiichiro.koyano/Documents/bu/bb.xlsx",sheet="bb4")
par(mfrow=c(2,2))
plot(soukan$year,soukan$`housing index`,type="l",ylab="housing index",xlab="year")
plot(bb1$x1,bb1$a5,type = "l",ylab = "総人口",xlab = "year")
plot(soukan2$x1,soukan2$a3,type = "l",ylab = "日経平均",xlab = "year")
plot(soukan2$x1,soukan2$GDP,type="l",ylab="GDP",xlab="year")
第一は、バブルを頂点に大きく山なりになっている形、第三は、バブルまで上昇し、その後、停滞し横ばいしている形、三つ目は、一見無原則に乱高下を繰り返している形である。 第一の形は、地価や株価、財務cfなどが代表的である。第二の形は、GDP、売上高、総人口などが典型である。第三の形は、営業利益、経常利益、為替などが典型である。 なぜ、このような三つの形が現れるのか。三つの形は、おのおの独立したものなのか。それとも何らかの関係があるのか。また、三つの形は、必然的なのか、人為的なものなのか。この辺を明らかにしていく必要がある。
###まず代表的な指標であるGDPを取り上げてみる。 日本のGDPは、バブルまで上昇しその後停滞している形の典型である。第一に、このようなGDPは、標準なのか。それとも、わが国固有のことなのかを明らかにする必要がある。次に、なぜ、日本のGDPは、このような形になったのか。その原因は、どこにあるのか。また、現代の経済は、成長を前提としているが、経済や市場は、拡大、成長し続けないと成り立たなくなるのか。 以上の点を明らかにしていきたい。
まずドル建てて各国のGDPを比較してみる。 JP=日本。UA=アメリカ。CH=中国。DE=ドイツ。MX=メキシコ。TR=トルコ。VE=ベネズエラ。SA=サウジアラビア
library(readxl)
wgdp <- read_excel("~/wgdp.xlsx", sheet = "wgdp")
## New names:
## * `` -> ...1
ts.wgdp <- ts(wgdp,start = c(1980),frequency = 1)
plot(ts.wgdp[,2:9])
#日本のGDPの変化の形は、日本独自のものといえる。 #独自というより特異といったほうが当てはまるかもしれない。 #自国通貨建てて比較してみる。
plot(ts.wgdp[,10:16])
ドル建てを自国通貨に置き換える。違った形が見えてくる。また、自国通貨建てのほうが変化が滑らかになる。 トルコは、自国通貨建ての場合は、右上がり急上昇しているのに対してドルに換算すると2013年を頂点として下降局面に突入している。このように単に自国通貨建てだけではわからない局面がある。自国の事象を普遍化するのは危険である。 いずれにしてもバブル崩壊後の長期停滞は、日本固有の現象といっていいだろう。
その謎を解くカギは、経済の変化の形に隠されていると思われる。
山なりな変化と横ばいの変化を見てみると共通しているのは、バブルが形成される段階に相関関係が崩れ、バブルが崩壊すると大きく変化が乖離している点である。全段階を一つの場として捉えるのではなく、段階に応じて場の働きが変化していると考えるべきなのである。 その時代その時代でどのような場が形成されているかを解明することが経済を予測したり、経済政策を立案する際の鍵となる。
グラフを比較してみると時代によって相関関係が変化していることが窺えるただ、単純に統計的に分析した場合、相関関係が強くなっ時点にいると何らかの法則があるように見えるし、相関関係が弱い時点でみると何の法則もないように見える。 その点が回帰分析の限界なのである。 例え、見せかけだとしてもその背後にどのような力が隠されているかを検証せずに軽々に相関関係の有無を否定も、肯定もできない。変化の背後にある場に、どのような力が働いているのか、環境や状況、前提条件に決定的な変化がなかったかを事前に検証しておく必要がある。 変化の裏側には、変化を引き起こす要因が隠されている。その要因の働きを明らかにすれば、変化の大要はつかめるはずである。 飛行機が上昇している時の機内の状態と巡航状態に移った時の機内の状態は違っている。落下状態になれば、機内は無重力状態に陥る。 バブル崩壊後の日本経済は、まるで無重力状態に陥っているように見える。
第一に言えるのは、地価に大表される資産価値の異常な暴騰と崩壊後の下落である。第二点は、経済成長が停滞期に移ったことである。この二つの変化にどのような因果関係があったのか、それがバブルの原因を紐解くカギである。
目先の短期的な変化にばかりとらわれると変化本来の基調を見失いかねない。
学校教育では、方程式や恒等式は、解いたり、証明することに力点が置かれているが、経済の現場では、方程式や恒等式の構成や構成の変化が重要なのである。それは、方程式や恒等式を構成する要素がどのような働きをしているかを知りたいからである。
GDPを目的変数として、総人口、雇用者報酬、付加価値、収益(売り上げ)、民間消費支出などを説明変数とする。 GDPと総人口a5、雇用者報酬y1、付加価値d1、収益b4、民間最終消費支出y6の相関関係を調べてみる。
library(car)
## Loading required package: carData
cor(bb1[,c("GDP","y1","y6")])
## GDP y1 y6
## GDP 1.0000000 0.9922936 0.9944341
## y1 0.9922936 1.0000000 0.9852968
## y6 0.9944341 0.9852968 1.0000000
cor(bb1[,c("GDP","a5","b4")])
## GDP a5 b4
## GDP 1.0000000 0.9563812 0.9607997
## a5 0.9563812 1.0000000 0.8966357
## b4 0.9607997 0.8966357 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+y1+y6, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)
#総人口、雇用者報酬、付加価値、収益、民間最終消費支出は、いずれもGDPと高い相関関係を示している。
#1980年~1994年
cor(bb2[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
## GDP y1 y2 a5 b4
## GDP 1.0000000 0.9983587 0.9903980 0.9752597 0.9896087
## y1 0.9983587 1.0000000 0.9954948 0.9781155 0.9829878
## y2 0.9903980 0.9954948 1.0000000 0.9659678 0.9634587
## a5 0.9752597 0.9781155 0.9659678 1.0000000 0.9644916
## b4 0.9896087 0.9829878 0.9634587 0.9644916 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb2)
1985年~2005年
cor(bb3[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
## GDP y1 y2 a5 b4
## GDP 1.0000000 0.9862037 0.8984569 0.8999036 0.8837181
## y1 0.9862037 1.0000000 0.9551341 0.9545940 0.8145171
## y2 0.8984569 0.9551341 1.0000000 0.9965883 0.6536038
## a5 0.8999036 0.9545940 0.9965883 1.0000000 0.6636698
## b4 0.8837181 0.8145171 0.6536038 0.6636698 1.0000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb3)
1994年~2009年
cor(bb4[,c("GDP","y1","y2","a5","b4")])
## GDP y1 y2 a5 b4
## GDP 1.00000000 0.5571924 -0.08159534 -0.04756419 0.61135474
## y1 0.55719240 1.0000000 0.73066796 0.74901529 0.41183796
## y2 -0.08159534 0.7306680 1.00000000 0.99019100 0.10393578
## a5 -0.04756419 0.7490153 0.99019100 1.00000000 0.08276543
## b4 0.61135474 0.4118380 0.10393578 0.08276543 1.00000000
scatterplotMatrix(~GDP+a5+b4, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb4)
bb1 <- read_excel("~/bu/bb.xlsx", sheet = "soukan2")
library(car)
cor(bb1[,c("a3","a4","b10","z1")])
## a3 a4 b10 z1
## a3 1.0000000 0.7138311 0.4869962 0.5125243
## a4 0.7138311 1.0000000 0.8953737 0.6714048
## b10 0.4869962 0.8953737 1.0000000 0.7836058
## z1 0.5125243 0.6714048 0.7836058 1.0000000
scatterplotMatrix(~a3+a4+b10+z1, regLine=TRUE, smooth=FALSE, diagonal=list(method="density"), data=bb1)
株価に対して財務CFや支払金利は、あまり高い相関関係を示していないが、ある程度の相関関係が見て取れる。 大恐慌やバブルの崩壊などの予兆として株価の急落があげられる。しかし、株価の急落が直接的に市場に作用するのではなく。株価の急落により、資産価値の実勢価格と名目価値とが乖離し、投資家や民間企業の資金調達力が失われることが主たる原因である。原因は、流動性が失われることなのである。 バブルの形成と崩壊の裏には、資金の流動性の問題が隠されている。 地価の下落や民間企業の資金需要の減少が経済成長に負荷をかけていることが考えられる。 表面に現れる物価や景気の背景には資金の流れが隠されている。注意しなければならないのは、部門間の資金の過不足の偏在である。部門間の資金の過不足は、資金の流れる方向を示している。
ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),frequency = 1)
plot(ts.soukan2[,2:7])
総人口の推移が変化の基本線となってしいるのが読み取れる。
円・ドル 為替=en-dollar a1 ドル・円 為替=dollar-en a2 日経平均=the Nikkei stock average a3 公示47住宅指数=housing index a4 総人口=total population a5 消費者物価=CPI Consumer price index a6
付加価値=Added value。d1 総資本営業利益率=Return on total operating capital d2 総資本経常利益率=Return on total capital d3 売上高営業利益率=Operating margin d4 総資本回転率=Total capital turnover d5 有形固定資産回転率=Property,plant equipment turnover d6 棚卸資産回転期間=Inventory turnover d7 売上債権回転期間=Accounts receivable turnover d8 買入債務回転期間=Turnover of payables d9 従業員一人当付加価値=Added value per employee d10 労働装備率=Labor equipment ratio d11 設備投資効率=Capital investment efficiency d12
ts.soukan2<-ts(soukan2,start = c(1980),freq=1)
ts.bb1<-ts(bb1,start=c(1980),frequency = 1)
plot(ts.bb1[,26:31])
plot(ts.bb1[,32:37])
故に、部門間の資金の過不足の状態は、経済の働きを理解するうえで不可欠である。
資金の流れの働きで重要なのは、流れる方向と量である。どちらに向かって流れているのか、あるいは、資金がどこに溜まっているかを見極めることである。 「お金」の流れる方向がカギなのであり、「お金」の流れる方向は、各部門の収支、資金の過不足に現れる。
所得、収益と借金は、表裏の関係にある。
売買と貸し借りは均衡している。貸借、すなわち、金融は、資金の過不足を補填するように動くからである。支払準備が不足したら借りるしかない。そして、「お金」は、貸し借りと売り買いの均衡の上に成り立っていて、その関係が「お金」を市場に人勧させているからである。 また、売りは買いであり、貸しは借り、収入は、支出である。売り手と買い手、貸し手と買い手があって取引は成り立ち。取引の総量をゼロ、すなわち均衡している。これが原則である。
借金は、信用の上に成り立っており。表彰貨幣は信用を前提としている。貨幣制度は信用制度の上に形成される。 支払いを準備する手段が「お金」である。信用は、「お金」によって実体化され、保証される。支払準備は、信用制度の上に成り立つ。 市場取引が成り立つためには、一定量の支払い準備が必要される。支払準備が枯渇すると市場は機能しなくなる。 支払準備高が増えても、収益が上昇しなければ、市場経済の仕組みは機能しなくなる。
借入金の限度をどの程度に設定するか。この課題は、企業だけでなく、家計でも、一般政府でも深刻な問題として議論されてきた。 借入金の限界は、明らかに収入や所得に制約される。基本的に金利も含めた月々の返済額が定収を超えないというが前提となる。 借入金の返済などに充てられる資金は、最低限の生活費を差し引いた残りであることが前提となる。生活もできないほど、借金の返済に追われるようでは、借金をする意味がない。 しかし、定収の範囲を超えないと言っても借入金の返済目的以上の支出もある。収入の使い道は、借入金の返済ばかりではない。 家計収入から、支払を義務付けられている税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた可処分所得を自由に使える限度とする見方もある。 また、貯蓄や資産を含めた支払い能力を基礎とする考え方もある。 いずれにしても借入金の限度は、経済活動を破産させないための一つ目処であることは、間違いない。 借入金の限度を設定するうえで重要なのは、フローとストックの関係である。
その事で、負債と資産、債権と債務の関係の本質が変わったのである。 貸借が売買に取って代わったら報酬の働きが変わる。
Assets/Total/Flow 部門別資金フロー
Financial 金融機関=institutions=ff11 一般政府=General government=ff12 国内非金融法人企業=Domestic nonfinancial sector=ff13 非金融法人企業=Nonfinancial corporations=ff14 家計=Households=ff15 対家計民間非営利団体=Private nonprofit institutions serving households=ff16 海外部門=overseas=ff17
plot(ts.soukan2[,38:44])